「エスニックな部屋」「フォークロア・スタイル」「ボヘミアンなクッション」…
どの言葉も、主に異国情緒あふれるものやイメージに対して、日常で広く用いられます。
皆さんは「エスニック」「エキゾチック」「フォークロア」「ボヘミアン」「トライバル」の違い、分かりますか?
似たようなニュアンスを持ち、すべてを明確に使い分けられているという方は、そう多くないでしょう。
しかし、「微妙に何かが異なるから使いわけている」ことには違いありません。
ここでは、5つの単語がどのように使われているのか?について、言葉が持つイメージやニュアンスを感覚的に理解できるよう、主にインテリア・雑貨の側面から、簡単に解説していきます。
それぞれの違いが分かるようになれば、暮らしの中に取り入れたいアイテム探しに役立つこと間違いなしですよ。
5つの言葉の「違い」と「共通点」
まず、5つの言葉の語源から、主に3つのグループに分類できます。
- 「民族的」「部族的」を表す:エスニック・フォークロア・トライバル
- 「異国情緒」を表す:エキゾチック
- 「特定の民族・地域」を表す:ボヘミアン
現在、すべての言葉が語源通りに用いられているわけではありませんが、語源のイメージを頭に入れておくと、微妙なニュアンスを理解するのに役立つでしょう。
共通点は、どれも「ある国や地域から見た、民族・文化的な違いについて表す言葉」というところにあります。
インテリア分野における、5つの言葉の使われ方
今回ご紹介する5つのワードは、すべてわたしたちの暮らしの中、とりわけインテリア分野で頻繁に耳にする言葉です。
それぞれの言葉の持つイメージをつかむことで、ちょっとしたイメージや概念の違いを使い分け、自分がどのようなスタイル・アイテムを求めているのかを明確にすることができます。
インテリアや雑貨といったアイテムを取り入れたいとき「こんなものがほしい」と、頭の中でぼんやりと思い浮かべたものを言語化する際に便利です。
世界じゅうに存在する多様な文化や雰囲気を表現するのに、とても役立ちます。
エスニックとは
エスニック(ethnic)とは、『風俗・習慣などが民族特有であるさま』、または『民族的』を指します。
特にファッション分野においては、以下のような認識が一般的です。
民族服をイメージソースにした土着的な独特のスタイル。
フォークロアとは違い、アフリカや中近東、アジア、南米など、欧米人から見た異なる民族のスタイル。
今シーズンはアフリカや中近東をモチーフにしたものが多く登場している。
(引用元:エスニックとは何? Weblio辞書)
ひと口に「民族的」といっても実にさまざまですが、エスニックのポイントは「欧米人視点でみた民族」が語られること。
インドや東南アジアを連想させるスタイルから、南米独特のパターンのような、幅広い範囲をカバーできる言葉です。
ボヘミアンと混合して使われることが多いですが、「エスニック料理」が主に東南アジア・南米地域の料理を指すことから、インテリアの分野でも同様の国や地域に用いる傾向があります。
インテリアでは、東南アジアもしくは南米のラグやテキスタイルアイテムを基調とし、よりエスニックな雰囲気を演出するために、濃い色あいの木製家具をあわせることが多いようです。
エキゾチックとは
エキゾチック(exotic)とは、『異国の情緒や雰囲気のある様子』、もしくは『風変り・奇妙なもの』を指す言葉です。
日本では、主にバリ島のような東南アジアのリゾート地から中近東諸国のようなエレガントな雰囲気、もしくはモロッコを代表とするアフリカ大陸のイメージを象徴する言葉として用いられます。
また、南国のトロピカルな動物や花からインスピレーションを得たデザインが多いのも特徴です。
インテリアを例に見てみると、落ち着いた色味のアイテムと、キルトや絨毯など柄のあるテキスタイルを上手に組みあわせ、文字通り「異国」を感じられるムードに仕上げた実例が見られます。
中には、ゼブラ・ヒョウ柄の家具に熱帯植物といった、アフリカやアマゾン地域を彷彿とさせるような、野趣あふれるアイテムをあわせることも。
いずれにしても、日本や欧米ではなかなか味わえない、優雅な雰囲気を味わえる「エキゾチック」は魅力的ですね。
フォークロアとは
フォークロア(folklore)とは『民俗』の意味で、ファッション分野では民族調のスタイル全般を指します。
後述する「ボヘミアン」とすこし似たイメージがありますが、インテリア分野におけるフォークロアのイメージに大きくかかわるのは、特に東欧・北欧を中心とした地域に古くから伝わる民芸品です。
フォークロア調のテキスタイルは、自然や動物をモチーフとした模様や刺繍がほどこされ、あたたかみを感じられるものが多いため、暮らしに取り入れると明るく落ち着いたイメージに仕上がりやすくなります。
ほかにも、ぽってりとした陶器や素朴な雰囲気の木製アイテムといった、シンプルな部屋に取り入れやすいアイテムが揃います。
北欧・東欧の民話を彷彿とさせるデザインが好まれる傾向にあるため、いわゆる「北欧デザイン」がフォークロアにそのまま当てはまるケースも。
民族的なイメージの中でも、北欧・東欧風のアイテムを求める方にとって「フォークロア」はぴったりな言葉です。
ボヘミアンとは
ボヘミアン(Bohemian)とは、かつてチェコ西部を中心に暮らしていたボイイ人に由来するといわれています。
時代とともに意味が転じていき、現在は『社会の規範にとらわれず、自由で放浪的な生活をする人』を指すようになりました。
以上の定義から、インテリア・ファッション分野では、特にピースフルで開放的なスタイルに多く用いられます。
国や地域に縛られず、自由な旅人のようなイメージで、好きなものを自分らしく好きなように取り入れるのが、ボヘミアンテイストのポイントです。
あたたかなウールやコットンファブリック・ラグといったアイテムが多く見られ、明るくオープンなムードを大切にします。
インテリアには、幾何学模様のテキスタイルや陶器といったアイテムを取り入れ、バンブーや木製素材の家具や照明器具をあわせると、程よくまとまりますよ。
トライバルとは
トライバル(Tribal)とは、英語で『部族の~』を意味する言葉です。
特に、ポリネシア地域に存在する部族間で伝承されてきた、土着信仰に基づいた身体装飾のことを指します。
サモア族に代表されるトライバル・タトゥーのモチーフや、部族・民俗の中で古くから伝わる伝統柄をもとに作られた、ラグやインテリアといったアイテム、もしくはトライバル柄アイテムを取り入れたスタイルのことを「トライバル」と呼びます。
力強さとインパクトのあるトライバル柄を用いたアイテムは、色のコントラストがはっきりしたものが多く、ひとつ取り入れるだけでお部屋の雰囲気がガラッと変わります。
有機的なフォルムの家具や、木・鳥の羽のような自然素材との相性ばっちりです。
独特の文化を持つ先住民族の伝統と神秘性が象徴された、個性的なムードを演出できるトライバル。
モダンなお部屋やDIYが進んだスペースにもあわせやすく、じわじわと人気が広がっています。
まとめ
日本の文化とは異なるテイストを持つ「エスニック」「エキゾチック」「フォークロア」「ボヘミアン」「トライバル」。
混合して用いられることが多く、ぼんやりとしたニュアンスで使っていた方も多いでしょう。
実際の言葉が持つ守備範囲は広く、似たテイスト同士で同義語のように用いられることも多いため、今回ご紹介した解説が一概に正しいとはいえませんが、より明確な違いを理解することで、抽象的な概念を表現しやすくなるのではないでしょうか。
5つの言葉を上手に使いこなして、ぜひインテリア探しやスタイルの追究に役立ててみて下さい。