古民家の中で最もベーシックな建築様式、平屋。
玄関からキッチン・寝室まですべて同じ空間で完結し、シンプルでミニマムな生活を目指す人にとってぴったりのスタイルです。
広さが必要なイメージの強い平屋ですが、近年は土地が狭い都市部でも「長く住みたい家」として平屋を選択する人が増えています。
ライフスタイルにあわせて柔軟に間取りを変えることができ、リフォームの自由度も高いことから、近年ふたたび注目を浴びている「平屋」の魅力に迫ります。
目次
平屋(平家)とは?
平屋とは、1階のみの建物のこと。
日本では古民家のイメージが強いかもしれませんが、簡単に建てられることから、幅広い用途に使われてきました。
現代住居として一般的な戸建てやアパートのような、2階建て以上の建物が大きな割合を占める一方、平屋は子どもからお年寄りの方まで幅広い年代になじみやすい点が魅力。
特に近年は、木造だけでなくコンクリートや大きなガラス窓を取り入れ、吹き抜けやロフトをつくるなど、モダンな平屋も増えています。
平屋は、人が暮らしを営む上で最も快適でフレキシブルな住居といえそうです。
日本の伝統を取り入れて、モダン&DIYな暮らしを楽しめる!
近年、再注目されている「土間」や「囲炉裏」を取り入れるなら、平屋がぴったり。
加えて、平屋は基本的にシンプルな構造で建てられているため、ちょっとしたセルフビルドでの増築やリフォーム・DIYがしやすいのもうれしいポイントです。
平屋をこれから建てる場合でも、日本家屋の伝統的な間取りを活かしてオープンキッチンを取り入れたり、障子部分を窓に変えて開放的な雰囲気にしたり…
アイディア次第で、伝統とモダンさのバランスが整った住まいに仕上がります。
もともと「内」と「外」の境界線がゆるい日本の古民家は、長い年月をかけて培われてきた暮らしの知恵が反映され、土地の気候条件に適した生活を送れるように設計されているもの。
時代を超えて、先人の知恵と現代技術を有効活用すれば、モダンでうつくしく、快適な住まいを手に入れることができますよ。
平屋のメリット
平屋は「古い」「高い」と思われがちですが、実はメリットがたくさんあります。
フラットな家だからこその暮らしやすさは、きっとすでに多くの人がアパート・マンションといったワンフロア生活で実感しているのではないでしょうか。
平屋の場合、もちろん住まいの上下に誰もいませんし、生活の自由度も快適度も広がる点が魅力ですよ。
広い&フレキシブルな空間づくり
平屋は、あまり多くの壁や柱を必要としない構造のおかげで、開放的で広く感じられます。
2階建て以上の家に、は階段や廊下といった設備が必要になり、どうしても狭くなりがちです。
加えて、上下に別の部屋があると、生活音が気になってのびのびと生活できない場合も。
1階だけの家なら、天井や階下からの騒音を心配する必要がなく、オープンな気持ちですごせるのではないでしょうか。
間取り次第では中、庭やウッドデッキをつくって、外とのアクセスがしやすくなる点もメリットです。
また風通しがよく、冬は暖房の熱が伝わりやすいため、シンプルな換気・廃熱システム配備も実現できますよ。
階段がない
1階建てで階段いらずの平屋は、バリアフリーで誰にとっても暮らしやすい住居です。
特にお年寄りや小さな子ども・ペットがいる場合、段差がない家は安全で便利でしょう。
また一般的な戸建てでは、将来子どもが独り立ちして2階の部屋が物置に…というケースも少なくない中、平屋なら荷物の移動もラクラク。
階段がないため空間を自由にカスタマイズでき、年齢やライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる点が魅力です。
生活導線がコンパクトに
生活空間がすべて1階で完結するので、洗濯や掃除・自炊のような家事をコンパクトに納められます。
階段の上り下りがなく、1階で洗濯機を回して2階のベランダまで移動する、といった導線の悪さを解消し、ワンフロアのみで生活できる利便性の高さは、大きなポイントです。
生活導線を考えて間取りを設計すれば、最短距離で効率よく過ごせ、日々のちょっとしたストレスを減らせます。
土間や縁側など、日本家屋の伝統的な間取りと組み合わせると、外と内の行き来がもっと楽になりますよ。
家族との密な時間を過ごせる
階が分かれていると、つい自分の部屋にこもってしまい、家族とのコミュニケーションがおろそかになることもあるでしょう、
平屋はワンフロアなので自然とリビングに集まる時間が増え、家族とのコミュニケーションに役立ちます。
会話をする機会があれば、日々お互いの状態を確認しあえ、いつでも尊重しながら過ごせるのではないでしょうか。
プライベートな時間はもちろん大事ですが、同じ屋根の下で生活を共にする家族とのコミュニケーションは、毎日を気持ちよく過ごすために重視したいポイントです。
増築・リフォームがしやすい
平屋は縦に長く建てる必要がないぶん、比較的シンプルな構造でつくられているのが特徴。
そのため、ちょっとしたリノベーションやDIYを自分たちでこなせます。
中には半セルフビルドで増築するツワモノもいますが、それが実現できるのは平屋ならでは、といえそうです。
自分好みの空間をすこしずつ作っていきたい!と思う人は、平屋に暮らしてみるといいかもしれません。
自然災害に強い
背の低い平屋は、構造の安定性が高く、地震や強風といった自然災害に強いのがメリットです。
地域によっては、風が吹いても家にダメージを与えにくいよう、屋根の角度をなだらかにつくっていることもあります。
ほかにも、雨水による浸水や洪水といった災害に備えて、床下を高くして対策を取ることも可能。
自然災害の多い日本だからこそ、古くからの知恵と現代の技術を組みあわせ、もしもに備えた安全な平屋が向いているのです。
平屋の注意点
平屋は一般的な戸建てとは異なり、土地面積や日当たりの面で注意が必要です。
特に都市部や住宅地が密集するエリアでは、土地の広さだけでなく、まわりの環境をよくチェックし、検討することが大切。
よりよい平屋ライフを送るために、住まいを選ぶうえで注意したいことを押さえておきましょう。
生活人数にあわせた、十分な広さが必要
平屋は1階しか生活空間がない分、人数が多くなればなるほど横の面積を必要とします。
自分の希望にあわせて、土地を確保するのがベストでしょう。
生活人数が少ない場合ば、タイニーハウスのようにコンパクトな平屋を建てるのもいいですね。
住居スペースとは別に、荷物を収納する場所として別途倉庫を取り入れたり、平屋にロフト・屋根裏部屋をつくるのも手です。
日当たり&プライバシーを確保!
平屋は背の低い建物なので、どうしても周辺環境によっては日当たりを確保しづらいことがあります。
特に、まわりに高い建物がそびえたっていると、一日中日が当たらず、せっかくの住まいがずっと暗い…なんてことも。
また高い建物でなくても、隣家との距離が近すぎてしまうと、家の様子が丸見えになってしまうこともあります。
その場合は、屋根を大きめに設計して、視線を避ける手もありますよ。
平屋に住む、もしくは新しく平屋を立てる前に、必ず周辺環境をチェックしておきましょう。
生活もコミュニケーションも自然な、平屋での暮らし
古くから一般的な住居様式として用いられ、近年は使い勝手のよさから再び人気を集めている平屋。
シンプルな構造で広く浸透し、水平移動だけで完結する生活導線の利便性が魅力です。
家族や友人・パートナーと暮らすうえでも、コミュニケーションの機会が増える点は、平屋が今も支持されている理由のひとつなのではないでしょうか。
無理なく長く暮らせる平屋づくりで、きっと快適な毎日をかなえられますよ。