Røros Tweed(ローロス・ツイード)は、1940年に創業された、ノルウェーのテキスタイルブランドです。
素材の調達から製品仕上げまでをすべてノルウェー国内で行い、ローカルメイドの側面が強いのが特徴です。
壮大な自然の中で育ったノルウェーの羊から取れる良質なウールを使い、地域の伝統的な技法・柄や自然にインスピレーションを受けた、あたたかなデザインのブランケットやクッションカバーを展開しています。
また北欧をはじめ、さまざまな国の有名デザイナーとのコラボレーションによって、モダンなデザインのアイテムを数多く生み出しています。
目次
Røros Tweed(ローロス・ツイード)とは
ローロス・ツイードは、18世紀に活躍した鉱山の管理者Peder Hiort(ペーデル・ヒョルト)が、町の貧しい人々のために残した遺産を使って立ち上げられました。
彼の莫大な遺産でウールをリネンを購入した町の貧しい人々が、生計を立てるために手織りのウール製品をつくるようになったのが始まりです。
機織りは町民によって、個人宅で粛々と行われてきましたが、1952年に自社ミル(紡績機)を導入し、機械による生産を開始して現在に至ります。
原料となるウールは、すべてノルウェーの壮大な自然の中で育った健康な羊の新毛(ラムウール)を使い、紡績から製造まで一貫してノルウェー国内で行っています。
ローロス地方に古くから伝わる伝統や、ノルウェーの自然をベースにしたパターンをはじめ、北欧デザイン界で人気のデザイナーたちとのコラボレーションにも積極的。
コラボレーションを手がけているデザイナーには、現代ノルウェーデザインを代表するDarling Clementine(ダーリン・クレメンタイン)や、マリウス柄で知られるノルウェーのニット・デザイン・ユニットArne & Carlos(アルネ&カルロス)といったメンバーが含まれます。
厳しい基準で厳選されたウールによる上質な触り心地と、あたたかでぬくもり溢れる色づかいのアイテムが特徴です。
世界遺産のサスティナブルな村・Røros(ローロス)
ローロス・ツイードが生まれた小さな町 Røros(ローロス)は、ノルウェーの中部に位置しています。
1600年代半ばに鉱山が見つかって以来、約300年にわたり鉱山産業の町として栄えました。
今では町の一部が、ヨーロッパ最古の木造建築群が並ぶエリアのひとつとして、世界遺産に登録されています。
寒さの厳しい自然環境の中で、時間をかけてゆっくりと育つ地元産の素材を用いた、食品や織物・工芸品といった産物が多いことでも有名です。
サスティナブルな産業が栄える町であり、ノルウェー国内ではエコ・ローカルメイドに力を入れている産地として、まっ先に名が挙がるほど。
北欧を訪れる機会があれば、ぜひ一度立ち寄りたい場所のひとつです。
Røros Tweed(ローロス・ツイード)の主なラインナップ
ローロス・ツイードでは、ノルウェー産ウールを使用して織りあげたブランケット・クッションカバーを生産しています。
上質でやわらかなウール生地がやさしく肌を包み込んでくれ、毛玉になりにくいのが特徴です。
ブランケットはリバーシブルカラーを楽しみながら室内外で活躍し、クッションカバーは部屋をリラックスした雰囲気に演出してくれます。
地域に伝わる伝統パターンや自然のモチーフをモダンにアレンジし、冬のひとときを落ち着いた雰囲気にしてくれるトーンに仕上げたアイテムが多く揃います。
一方で、ノルウェーをはじめ世界で活躍するデザイナーたちが多数参加し、時代や場面にとらわれることなく使えるデザインが並びます。
ここでは、代表的なパターンをいくつかピックアップしてご紹介します。
Lynildシリーズ
ノルウェーのデザイン・スタジオNorway Saysを立ち上げた男性2人組によるユニット Anderssen & Voll(アンデシェン&ヴォル)が発表したシリーズです。
ローロス周辺をはじめ、古くからノルウェーに伝わるパターンやモチーフを使ったデザインを多く提案しています。
シリーズ名の「Lynild」は本来ノルウェー語で「雷光」を意味しますが、ここでは中世ノルウェーから伝わるテキスタイルパターンの一種を指します。
暗く寒い北欧の冬で、大切なデザインポイントのひとつである光の表現を、ノルウェーの山々にインスパイアされたアレンジで蘇らせています。
うつくしいグラデーションとコントラストで、見る人を不思議と落ち着かせてくれる象徴的なデザインは、インテリアのアクセントとしても活躍すること間違いなしです。
Naturpleddシリーズ
ノルウェー・オスロを拠点に、幅広いデザインを手がけるKristine Five Melvær(クリスティン・ファイブ・メルヴァ)による『Naturpledd(ナチュラル・ブランケット)』シリーズです。
羊の毛そのままの色味を活かし、無染色のウールのみで仕上げているのが特徴で、自然の恵みが織り成すうつくしい色あいが際立ちます。
ウール糸の束の様子にインスピレーションを受けたというパターンは、やわらかなムードが漂い、見るだけで「あたたかそう」と思わせてくれる秀逸なデザイン。
クリスティンはこのシリーズで、2015年のICFF(国際現代家具デザインフェアー)のベストテキスタイル賞を受賞しました。
ウールの魅力をすべて詰め込んだような、愛に溢れるデザインのアイテムは、見た目だけでなく使い心地も抜群です。
Skogbunn Mini & babyシリーズ
現代ノルウェーを代表するデザイン・ユニットDarling Clementine(ダーリン・クレメンタイン)による、『Skogbunn(Forest floor)Mini & baby』シリーズです。
「ドアののぞき穴から見た、ノルウェーの森の様子」というファンタジックな設定は、レトロで遊び心に溢れたデザインを得意とするダーリン・クレメンタインらしさがにじみ出ています。
大人はもちろん、子どもにぴったりなパターンは、遊ぶときに床や芝生の上に敷いたり、ベビーカー・ソファにあわせたいもの。
外で使って大丈夫?と思われるかもしれませんが、ウール素材は適度に油脂を含むため、水や汚れをはじく機能を備えています。
朝露がすこし残る芝生や草の上に敷いてもへっちゃらなウールのブランケットで、外遊びが楽しくなりそうですね。
Setesdalシリーズ
『Setesdal(セーテスダール)』シリーズは、編み物好きならきっと誰もが知っているであろう、ノルウェー人男性2人組ユニットArne & Carlos(アルネ&カルロス)がデザインを手がけています。
Setesdalとは、南ノルウェーの渓谷に位置する地域のことで、この土地に伝わる伝統的なセーターの柄のひとつでもあります。
クロスや幾何学模様あしらったクラシックなパターンをアレンジし、ノルウェーの伝統衣装・ブーナッドの色味をあわせました。
ブランケットを背中から羽織ると、まるで四角いセーターを着ているかのように見えるユニークさを持ちあわせています。
長い歴史の中で受け継がれてきた柄や色味でありながら古さを感じさせず、冬のひとときに安心感を与えてくれるデザインです。
ノルウェーの自然・伝統を今に伝えるRøros Tweed(ローロス・ツイード)
古くから伝わるノルウェーの伝統を受け継ぎ、時代を問わず親しみやすいデザインに昇華するローロス・ツイード。
ノルウェー国内で素材の調達から製品仕上げを行ない、原料のウールを生み出してくれる羊たちの生育環境や健康にまで配慮することで、人と動物にやさしく地域活性化にもつながる取り組みを続けています。
ウール素材の持つ特性と、ノルウェーの自然・伝統のよさを融合し、幅広い世代に愛されるローロス・ツイードのデザインは、今日も人々の暮らしにあたたかく寄り添っています。