Darling Clementine(ダーリン・クレメンタイン)は、2006年に設立されたノルウェーを拠点とするデザインブランドです。
ステーショナリーやテーブルウェア、テキスタイルといったアイテムを展開し、職人による技術を用いた高い品質と、ノルウェー国内外にファンを持つ愛らしく温かなデザイン・製品を発信していることが特徴です。
目次
Darling Clementine(ダーリン・クレメンタイン)について
Darling Clementine(ダーリン・クレメンタイン)は、2人の若いノルウェー人女性によって生まれました。
その 2人とは、イギリスの大学で共にイラストレーションとデザインを学んでいた Ingrid Reithaug(イングリッド・ライトハウグ)と Tonje Holand(トンイェ・ホーラン)。
彼女たちはグリーティングカードのデザインをきっかけに、ノルウェーの首都・オスロを拠点とした小さなデザインスタジオを立ち上げました。
ダーリン・クレメンタインのデザインの特徴は、バウハウス時代のアーティストに影響されたというダイナミックなタッチと、北欧の伝統的な民話や、身近な動物・植物などのモチーフを融合しているところです。
創業したての頃は、ノルウェー国内の小さなデザインの仕事を引き受けていましたが、少しずつその活躍の場を広げていきます。
近年では自社ブランド製品のデザインと並行して、外部クライアントから依頼を受けるデザインにも積極的に取り組んでいます。
デパートや美術館、世界的な企業・ブランドに向けて彼女たちの作品を提供するといった急成長を見せ、現在では世界中に多くのファンを持つ注目のブランドとなりました。
さらに 2020年には、それまで自社で行ってきた製品の生産をストップすると発表し、今後はクライアントに向けて、質のより高いデザインを提供するデザインスタジオとして新たなスタートを切りました。
Darling Clementine(ダーリン・クレメンタイン)の主なラインナップ
ダーリン・クレメンタインでは、自社製品としてノートやペンといったステーショナリー全般のほか、キャンドル、テーブルウェアなど幅広いアイテムを手がけています。
彼女たちが発信する明るいトーンながらスタイリッシュさもあわせ持つデザインは、日常のちょっとしたシーンに嬉しさや華やかさをもたらしてくれます。
ステーショナリー
ダーリン・クレメンタインにとって最も重要な主力アイテムは、ステーショナリーです。
自社ラインとしてのアイテム製造はすでに中止されてしまいましたが、現在も取り扱うショップが多くあり、その丁寧な仕事ぶりを目にすることができます。
また 2020年 9月には、ノルウェー・オスロ市内に移転する『ムンク美術館』に向けて、ステーショナリー全般のデザインを担当するなど、これからも彼女たちのステーショナリーアイテムに出会える機会はありそうです。
グリーティングカード
グリーティングカードは、ダーリン・クレメンタインの原点ともいえる存在です。
ブランドの生みの親であるイングリッドとトンイェが、グリーティングカードをデザインすることが無ければ、今日私たちがそのレトロで可愛らしいデザインの数々を目にすることはできなかったかもしれません。
彼女たちが立ち上げたブランドの、まさに「スタートライン」といっても過言ではない大切なアイテムがグリーティングカードです。
北欧の童話・民話や、動物・植物などをモチーフとして好み、レトロ調ながら現代的にアレンジされたデザインのグリーティングカードには、贈る側にも贈られる側にも「書いて伝わるときめきを再発見してほしい」という、2人の願いが込められています。
いつまでも部屋に飾っていたくなるような、イラストと色使いが可愛らしいダーリン・クレメンタインのカードは、大切な人に向けて贈りたくなる 1枚です。
ノート・ペーパーホルダー
ダーリン・クレメンタインの他の代表的なアイテムには、『Rock Paper Scissors(ロック・ペーパー・シザーズ)』と名付けられた、ノートやペーパーホルダーのシリーズがあります。
モダンなエンボス文字が押されたキャンパス地や、ハードカバー仕様のスタイリッシュで美しい装丁は職人さんの手によるもの。
ノートの紙は少し厚みがあり、どんなペンでも書きやすいように工夫され、ブックリボンも付いているので見たいページをすぐに開けるようになっています。
また、ペーパーホルダーは丈夫なゴムバンドでしっかりカバーできるため、大切な資料などを守ることもできるうえ持ち運びにも便利です。
見開きはマーブル模様や鉱石モチーフのプリントが目を引き、遊び心を忘れないところにダーリン・クレメンタインらしさを見ることができますね。
テーブルウェア
ダーリン・クレメンタインが発信するテーブルウェアは、グリーティングカードでおなじみの動物・植物のモチーフをそのままに、陶磁器のお皿やカップ、トレイに仕立てたアイテムが揃います。
職人の技術を大切にするダーリン・クレメンタインらしく、トレイには北欧で代表的な木・バーチ(白樺)を使用し、またハンドメイドで製作するといったこだわりも感じることができます。
ただ可愛らしいだけでなく、手仕事のぬくもりも感じることができる温かなテーブルウェアは、食卓を明るく演出してくれるでしょう。
デザインスタジオとしての活動
愛らしく温かみのあるデザイン・アイテムを発信するダーリン・クレメンタインは、製品ブランドであると同時に、デザインの制作に特化したデザインスタジオも立ち上げました。
自社ブランドのためのデザインだけにとどまらず、常に広い視点を持って活動しつづける彼女たちの実績はノルウェー国内外で評価されています。
ここからは、おもに紙を対象としたデザインを手がけてきたダーリン・クレメンタインの代表作品を見てみましょう。
ポスター・ブックデザイン
日本で最も有名なダーリン・クレメンタインのアイテムといえば、おそらく『洋なしのポスター』ではないでしょうか。
洋なしの実と種がダイナミックに描かれた、自社ブランド製品『Hervest(ハーベスト)』シリーズは、数ある中でも人気の主力商品となっています。
また、ファッション分野での活動もめざましく、スウェーデンのファッションブランド『H&M』のグリーティングカードや、アメリカのニューヨークを拠点に置く『Kate Spade(ケイト・スペード)』のファッションブックなども担当しています。
さらに、ノルウェー国内では、老舗ライブハウス『PARKTEATERET(パーク・シアター)』のイベントポスターや、ショッピングモール『Aker Brygge(アーケル・ブリッゲ)』のクリスマス企画ポスターを担当するなど、幅広い分野で活躍しています。
どれも一度見たら忘れられないインパクトを持っていることが、ダーリン・クレメンタインのポスター・ブックデザインの特徴です。
パッケージ・キャラクターデザイン
世界中で活躍するダーリン・クレメンタインは、現在も母国ノルウェーに拠点を置いています。
ノルウェーを訪れたら誰もがきっと一度は目にする、有名企業のキャラクターやパッケージデザインも彼女たちが手がけてきました。
たとえば、ノルウェーの有名な乳製品メーカー『TINE』の商品パッケージや、ノルウェーで最も愛されるアイスクリーム『DIPLOM-IS(ディプロム・イース)』の製品キャラクターとして知られる「黄色い子供」をデザインしたのも彼女たちです。
特にアイスクリームのパッケージに印刷されているキャラクターは、もはや「ノルウェーの夏の風物詩」と言ってもいいほど、多くのノルウェー人にとってなじみ深い存在となっています。
ノルウェーだけでなく近隣の北欧諸国でもそのセンスを発揮し、日常のあらゆる場面においてカラフルなダーリン・クレメンタインのデザインを目にすることができます。
北欧の伝統モチーフを現代風にアレンジする Darling Clementine(ダーリン・クレメンタイン)
ブランド創立からまだ 15年も経っていないにもかかわらず、グローバルな活躍ぶりを見せるダーリン・クレメンタイン。
独特なタッチと色使いのデザインが多くの人を惹きつける理由は、2人のノルウェー人女性が愛する北欧の伝統や自然が作品にちりばめられ、ワクワク感と同時にどこか安心するような「温かさ」を感じることができるからかもしれません。