marimekko(マリメッコ)や Finlayson(フィンレイソン)など、北欧にはおしゃれなデザインのテキスタイル・ファブリックを手がけるブランドが数多くあります。
これらの生地を使ってファブリックパネルを作ると、素敵なインテリアを実現することができそうですよね。
でも、ちょっと待ってください。
仮にそのファブリックパネルを販売するつもりは無くても、著作権は本当に問題ないでしょうか?
目次
そもそも著作権ってどんなもの?
著作権(英語: copyright)という言葉は、誰でも1度は聞いたことがあると思います。
自分の考えや気持ちを作品として表現したものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、著作者に対して法律によって与えられる権利のことを「著作権」と言います。著作権制度は、著作者の努力に報いることで、文化が発展することを目的としています。
①著作権とはどんな権利?|学ぼう著作権|KIDS CRIC
しかし、著作権侵害(違反)が問題になるとき、それが本当にセーフかアウトか判断することは素人にはほぼ不可能だと思います。
ネットで検索するとたくさんの情報が見当たりますが、それで解決する問題であれば、弁護士も裁判所も必要ないはずですよね。
ちなみに、著作権は「知的財産権」の中に分類される権利の1つで、他にも特許権、意匠権、商標権などさまざまな種類のものが「知的財産基本法」という法律によって定められています。
ブランドが持つ著作権
有名ブランドは、デザインの著作権のほかにも、先ほどのような商標権や商号権、意匠権といった、そのブランドを保護するための権利を持っていることが一般的です。
インテリアや家具、ファッションなど、世界中に数多く存在するブランドは、「世界中の人々から有名ブランドである」と認識してもらうために、膨大な時間・労力・お金といったコストをかけてきた上で、現在の地位を築いています。
marimekko(マリメッコ)と言えば「ウニッコ柄」、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)と言えば「モノグラム柄」など、興味のない人でも知っているデザインやイメージがあるはずです。
また、これらのブランドは価格が高額であることが多く、それが「ブランド品を持っているステータス」へとつながり、また「そのアイテムが欲しい」といった衝動になり、これがブランドの成長にも関係します。
この背景には、ブランドが持つデザインの著作権の他にも、そこに付加価値を付けるための世界観やイメージといった、ステータス性をつくり出すために多大なコストが存在します。
ファブリックパネルにブランドの生地を使うことが著作権的にダメかもしれない理由
ブランドのテキスタイル生地を使ってファブリックパネルを作ることが、著作権において 100% アウトであるとは言い切れません。
また、実際に裁判になった場合、その程度や具合によっても結果は変わるでしょう。
私は法律の専門家ではありませんが、ファブリックパネルにブランドの生地を使うことが著作権的にダメかもしれない理由について考えてみました。
営利目的で販売する場合
あるところに「Aさん」という人がいました。
Aさんは休みの日に、とあるテキスタイルブランドの直営店に出かけ、いくつかの生地を購入し、ファブリックパネルを作って販売することにしました。
直営店で購入したものですので、アイテムは正真正銘の正規品ですし、もちろん代金の支払いもきちんと終えています。
そして、できあがったファブリックパネルを、ハンドメイド品販売サイトに出品したところ、すぐに買い手がつきました。
嬉しくなった Aさんは次々とファブリックパネルを作り、販売を続けて利益を上げました。
商用利用において著作権で問題になるかもしれない理由
正規品を正規店で正規の価格で購入した Aさんですが、そのブランドもテキスタイルを使ったファブリックパネルを販売していたとします。
Aさんからファブリックパネルを購入した人たちは、Aさんが作ったハンドメイド品であることを理解して買った人もいます。
でも、中にはハンドメイド品ではなく、そのブランドの正規品であると勘違いして購入した人がいるかもしれません。
また、ブランドが販売する正規品の価格は 5,000円、それに対して Aさんのハンドメイド品は 3,000円で出品していたため、安さにひかれて購入した人もいるかもしれません。
このような場合、仮に Aさんに悪意が無かったとしても、ブランド正規品の販売機会を損失させたことになる可能性があります。
さらに、Aさんのハンドメイド品のクオリティはそこまで高くなく、それを正規品だと思いこんで購入した Bさんが Aさんの作品を受け取ったとき、「仕上がりが雑だし、なんだかチープだなぁ」と感じた場合、Aさんはそのブランドイメージを低下させたことになる可能性もあります。
個人使用の場合
先ほどの Aさんとは違い、あくまで個人の趣味としてブランドの生地を購入し、ファブリックパネルづくりを楽しんでいた Cさんがいたとします。
Cさんはでき上がたファブリックパネルを SNS にアップして、周囲からの反応を見ることを楽しみにしていました。
ある時期から Cさんの SNS は人気アカウントとなり、Cさんはファブリックパネル以外にもブランドアイテムを使ったグッズを作り始めるようになります。
やがて、その投稿の様子をブランドの担当者も見るようになり、その社内でも少し話題に登るようになりました。
個人使用で著作権で問題になるかもしれない理由
ブランドによっては、個人使用でも使用の範囲を限定していたり、そもそも正規品を改変する許可を出していない場合もあります。
例えば、テキスタイル生地を裁断してドレスを作ることは OK でも、そのデザインをデータ化して Tシャツなどにプリントしてグッズ化することは NG といったように、用途や内容によって変わることもあります。
個人使用は商用利用よりも規制が少ないことが多いかもしれませんが、「プライベートで使うものだから大丈夫」と勝手に決めつけるのは注意したいところです。
(※繰り返しとなりますが、著者は法律の専門家ではありません)
ブランドの生地をファブリックパネルにしたい時は
少し怖い内容も含まれていたかもしれませんが、ブランドが定めるルールを守ればファブリックパネルづくりを楽しめると思います。
そのためには、自分であれこれ考え悩むよりも、正確な情報を知ることがもっとも確実です。
使用の許可が公開されていないか調べる
会社によってはウェブサイト上に生地の使用・販売について明記しているところもあります。
コットンこばやしの布を使って作った商品を販売してもいいのでしょうか?
はい。大丈夫です。
原則として、個人のお客様のご使用方法に制限は致しておりません。 どうぞご安心して、お使い下さいませ。
当サイトnunocoto fabricで販売している生地はすべて商用利用可能です。
催事・バザー・オークション・ハンドメイドサイト・個人のオンラインショップなどでの販売用アイテムの製作にそのままご利用いただけます。その際、特に「nunocoto fabric使用」といった記載も不要です。
ブランドに直接問い合わせる
当たり前のことですが、ブランドの生地をファブリックパネルに使うために、最も確実な情報を得る手段は、そのブランドに直接問い合わせることです。
上記のようにウェブサイトに記載があったとしても、「個人は OK でも、法人や事業性のある個人は NG」など、状況によってブランドの判断が変わる可能性も考えられます。
詳細が不明なまま安易に転用するのではなく、しっかり確認を取るようにしましょう。
著作権をしっかり守って楽しいファブリックパネルづくりを
個人使用の範囲内においては、著作権に関してそこまで厳しい規約を設けているブランドは基本的にはあまり無いと思います。
しかし、営利目的でファブリックパネルを販売する場合は、特に入念なチェックを行うようにしましょう。