「テキスタイル」と「ファブリック」は、インテリアやデザインが好きなら目にすることが多い言葉だと思いますが、この2つの違いを説明できるでしょうか?
じつは「テキスタイル」と「ファブリック」には厳密な違いはありません。
世界的に有名な北欧ブランドのマリメッコ(marimekko)も、テキスタイルブランドやファブリックメーカーなど、呼ばれ方がさまざまあります。
なんとなくの雰囲気で使われている「テキスタイル」と「ファブリック」ですが、英和辞典を元にもう少し掘り下げて調べてみました。
テキスタイル(textile)とは
テキスタイル(textile)とは、布地や織物のことで、一般的に製品へと加工する前の状態のものを指します。
英和辞典で調べると、「織物」「布地」「織物の原料」と翻訳されていますが、意外にも「織物の」「織られた」「織ることのできる」と形容詞としても使うことができるそうです。
参考 textile とは 意味・読み方・表現 | Weblio英和辞書
ここにおもしろい例文がありました。
A carpet is a textile fabric. じゅうたんは織物である.
“textile” を形容詞として使っている文章ですので、「カーペットは織られたファブリックである」と解釈することができます。
つまり、“テキスタイル” は加工前の段階で使う単語で、“ファブリック” は加工されたあとの布製品と違いを区別することができます。
マリメッコは生地だけを切り売りで購入することもできますし、クッションカバーや衣服などの完品も販売されているので、「テキスタイルブランド」でも「ファブリックメーカー」でも間違いではないことになりますね。
ファブリック(fabric)とは
テキスタイルに対して、ファブリック(fabric)の翻訳としては「布」「織物」「織り方」「生地」といった意味がありましたが、こちらは名詞としての利用しかないようです。
参考 fabricの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書
ただ、下記の例文を見ると、ファブリックにも加工前の素材としての状態を指していることが分かります。
enough fabric to make a coat 上着を作るのに十分な布.
「テキスタイル」と「ファブリック」に厳密な違いはない
なんだかすっきりしない結果となりましたが、ざっくりとした「テキスタイル」と「ファブリック」の違いは、業界の慣例による部分もあります。
たとえば、カーテンや、ソファの張り布、クッション、ベッドリネン、テーブルクロスやエプロンなどの完品は、インテリア業界では一般的にファブリック製品と呼ばれています。
対して、テキスタイルは「生地そのもの」を指し、ファッション業界でよく使われる言葉です。
ただ、インテリア関連ブランドにおいては、「デザインや素材、プリントにこだわりをもったテキスタイル」を、「インテリア・キッチンアイテムといったファブリック製品の形で生産販売する」といった形態のビジネスが大半ですので、ざっくりと下記のような認識でよいのではないでしょうか。
- テキスタイルは製品へと加工される前の状態の布地
- ファブリックは布地から加工された布製品