北欧インテリアや北欧雑貨は人気が高いものの、北欧料理についてはあまり知られていないように思います。
シンプルな素材を用いつつ、北欧ならではのアクセントが効いた北欧料理は、日本人の口にも合うやさしい味わいのものが多くあります。
日本でもなじみのある食材を用いたり比較的手に入れやすい材料を使うなど、北欧の美味しいお料理は意外と簡単に作ることができます。
この記事では、1年間スウェーデンに交換留学した経験を持つ北欧好きの筆者が、自身の体験談を踏まえながら日本の方にもおすすめしたい北欧料理の魅力をお伝えします。
目次
北欧スウェーデン滞在で好きになった料理
私がスウェーデンへの留学で滞在していた学生寮には共同キッチンがあり、そこで現地の方に伝統料理などのレシピを教わったことがあります。
留学が終わり日本に帰国してからも、「また北欧の思い出の味が食べたいなあ」と自宅でもトライしてみたら、特別に作り方が難しいわけでもなく材料をそろえるのも意外と簡単でした。
北欧料理は、思い出が大切なこともあるけれど、それ以上に作って気分が上がったり食べてほっこりできる好きなメニューとして今も重宝しています。
ここではそれらのメニューのいくつかをご紹介します。
「リンゴンベリージャム」を添えたミートボール・じゃがいものグラタン「ヤンソンの誘惑」
交換留学でスウェーデンに滞在していた時のこと。
私も含めて日本や韓国、中国などからやって来た留学生のメンバーに、スウェーデンの代表的な料理を教えてもらいながら一緒に作らせてもらう機会がありました。
そのメニューは、伝統料理のひとつである酸味のきいた「リンゴンベリージャム」を添えたミートボール。
それから、どの時期も保存が効くアンチョビを使ったシンプルな味付けが美味しいじゃがいものグラタン「ヤンソンの誘惑」でした。
どれも優しい味わいで食べやすく、ジャムやアンチョビのアクセントを少し感じるあたりが、またクセになる味わいで私はとても気に入りました。
サーモンと香草ディルのじゃがいも添え・ライ麦のクリスピー「クネッケブロード」
北欧諸国は物価が高く、節約が必要な学生だったこともあり、レストランやカフェで外食できる機会を日本と同じようには持てませんでした。
そんな中でもお店で注文してよかったな、と思い出に残っている味があります。
まず、サーモンに香草のディルで味付けし、小ぶりのじゃがいもを添えたシンプルな料理。
それから、スウェーデンのダーラナ地方にあるレクサンドの伝統的な「夏至祭」を見るため旅行したときに、地元のお店で見つけたライ麦で作られたクリスピー「クネッケブロード」も思い出に残っています。
こちらはなじみの無い食品だったものの、スウェーデンの伝統工芸品『ダーラナホース』のデザインが印刷されたパッケージがとても可愛く、手に取ってみたことが最初のきっかけです。
北欧のライ麦パンは酸味が強いため、私はあまり進んで買うことはありませんでした。
それでも「クネッケブロード」は好みの食べもので、サクサクとした食感でチーズなどとの相性も良く、北欧滞在から 10年ほど経った現在も好きで軽食にとったりしています。
クネッケブロードは、北欧の人々にとって長期保存ができる食品とされてきましたが、近年では全粒粉タイプの食物繊維を多く含むものが、健康食として欧米諸国を中心に見直されています。
北欧スウェーデン料理についての豆知識
スウェーデンの伝統的な料理は、北欧に自生するベリーの「リンゴンベリー」をジャムにしてミートボールやパンケーキに添え、味のコントラストを作っていることが特徴のひとつです。
また、寒いスウェーデンでは、極寒の環境でも育ちやすい「じゃがいも」が主食で、現地では小粒のものを丸ごと茹でてメインの料理と一緒にいただきます。
香草の「ディル」は、北欧料理で使う定番のセリ科のハーブで、北欧でポピュラーなサーモンやニシンといった魚や、じゃがいもとの相性もとても良く、すっきりとした爽やかさをもたらしてくれます。
北欧では日本のように小麦を使った白いやわらかい食パンなどはあまり人気がなく、寒冷地で育ちやすいライ麦などの穀物を用いた固めのパンが伝統の食品とされています。
ただ、この独特な酸味を感じる茶色の「ライ麦パン」は、日本ではそれほど一般的ではないため好き嫌いがすこし別れるかもしれません。
北欧料理のシンプルさと独特なアクセントがくせになる
北欧の伝統的な料理はきびしい風土事情にも関係した、ライ麦やじゃがいもといった素材が多く用いられている点が興味深いですね。
また、豊かな自然から採れたリンゴンベリーを使ったジャムを肉料理に加える方法も、日本の食文化にはあまりない面白い組み合わせだと思います。
それぞれ好き嫌いはあるかもしれませんが、個人的にはお料理の味に独特のアクセントが出るため好んで食べています。
ふだん手に取る食材ではないかもしれませんが、シンプルな北欧料理はそこまで再現が難しいものではありませんので、ぜひ一度トライしてみてください。
現地での北欧料理とレシピのご紹介
私の北欧料理の思い出として残っているメニューが、現地の人々の間ではどのように食卓で出されているかをここからはご紹介します。
なお、スウェーデンのミートボールといった伝統料理は、クリスマスに出されるメニューの中にも含まれているので、ここではクリスマスのコースの流れに沿ってお伝えいたします。
ちなみに、私はクリスマスも学生として寮に残って過ごしていたため、現地のご家庭でのクリスマス料理を味わうことは残念ながらできませんでした。
ですので、こちらではスウェーデンの方々から聞いて知ることができた内容を書かせていただいています。
また、スウェーデンとは別にフィンランドに滞在していた時の思い出として残っている「サーモン料理」についても現地の様子について触れながらお伝えいたします。
スウェーデンの「クリスマス料理」
スウェーデンのクリスマスでは、家族でテーブルを囲んで美味しいお料理をいただきます。
北欧のクリスマスは日本のお正月のような感じで、長期休暇に入るため家族で集まって過ごすことが一般的です。
そんなスウェーデンの伝統的なクリスマス定番メニューの一例は以下のようなものでした。
まず、スパイスの入った甘いグロッグというホットワインで温まったあとにいただくのは、ライ麦クラッカーのクネッケブロードとニシンの酢漬けや塩漬けのサーモン。
冷やしてサーブされるクリスマスのハムは、ジンジャークッキーを砕いたものやマスタードでコーティングしてオーブンで焼き上げたものです。
そして、いよいよ温かい肉料理としてリンゴンベリージャムを添えたグレイビーソースのミートボールが出てきます。
「ヤンソンの誘惑」の名をもつ、じゃがいもにアンチョビが入ったグラタンもクリスマスに出される温かいお料理です。
最後にクリスマスのデザートとして、シナモンを加えたミルク粥を冷やしたものにベリーやホイップクリームなどを加えたものが出され、ひと通りのコースが終了します。
フィンランドの「サーモンパイ」
北欧料理のイメージとしてサーモンを使った魚料理を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
フィンランドでは北部の川で野生のサーモンが捕れたり、ノルウェーから輸入した養殖ものなども入ってきているため、日頃から手に入れやすく親しまれている食材です。
香草ディルを用いてグリルしたり、鮮魚を生クリームのスープに入れたり、スモークサーモンや塩漬けしたものを用いるなど、調理方法も様々あります。
その中でサーモン好きの私が特に美味しいと思ったのが、フィンランドの首都ヘルシンキのカフェで食べたサーモンパイ「Lohi‐purjopiirakka(ロヒ プルヨピーラッカ)」。
現地ではカフェなどのメニューになっているほか、家庭料理の一つとしてディナーでお家でいただいたり、スライスしたものを軽食として食べる習慣もあります。
北欧料理を取り入れてほっこりした「おうち時間」を
北欧のお料理は、日本でも意外と簡単に手に入れやすい材料で作ることができます。
サーモンはなじみのある魚ですし、北欧の調理方法を普段の食卓メニューに取り入れてみたり、ちょっぴり変わったお料理にトライしてみるのも素敵ですね。
たとえば、イケア(IKEA)の食料品コーナーにも今回ご紹介した、リンゴンベリージャムやニシンの酢漬け、クネッケブロードなどの食材を見つけることができますよ。
また、香草のディルは輸入食品のお店などで私は買うことが多いですが、コリアンダーやタイムなど香りづけに用いられるような他のハーブで代用されても大丈夫です。
今回の記事内でご紹介したレシピ内容もぜひご参考に、北欧料理づくりも楽しんでいただければ幸いです。
北欧のゆったりと流れる空気感をお料理を通してぜひ感じてみてください。