Royal Copenhagen(ロイヤル・コペンハーゲン)は、1775年にデンマークの女王によって設立された歴史ある陶器ブランドです。
製品のデザインはすべて手描きで絵付けされており、製品の裏側にはロイヤル・コペンハーゲンのブランドロゴマークと、アーティストのサイン、シェーブナンパーが入っていることが特徴です。
世界中のファンに愛される Royal Copenhagen(ロイヤル・コペンハーゲン)が展開する製品には、日本や中国から影響を受けた食器も多くあります。
ブランドの象徴カラーとなるコバルトブルーは、日本の『伊万里焼』の影響を強く受けています。
目次
ロイヤル・コペンハーゲンの歴史
ロイヤル・コペンハーゲンは、女王ジュリアン・マリーによってデンマークの経済を豊かにするために「デンマーク王立磁器工場」として創立されたのが始まりです。
女王は当時のデンマークの資源を使って国民の生活を向上させる方法を模索しており、それは当時の主流であった神学ではなく、科学であると現実的な考えを持っていました。
1774年になると、彼女はようやく初のコペンハーゲン製の磁器を完成させ、ヨーロッパ諸国における他の国々と並ぶ磁器の製造技術を獲得します。
現在、30人もの職人の手を経た後に顧客の手元まで届けられるロイヤル・コペンハーゲンの陶磁器は、ブランドが歩んできた歴史やクラフトマンたちの思いによって支えられています。
ロイヤル・コペンハーゲンのブランドロゴマークの由来
ロイヤル・コペンハーゲンのブランドロゴマークである「王冠」と「三本の線」には次のような意味があります。
また、すべての商品の底面に入れられた「サイン」についても解説します。
王冠
王冠マークは、ロイヤル・コペンハーゲンの工場と王室に関係があることをアピールするために刻印されています。
当初はひとつひとつ職人の手によって描かれていましたが、1870年代頃からは刻印されるようになりました。
王冠を彩るのは、1690年に見つかった「ダグマーの十字架」です。
また、王冠のマークは時代とともに変化しているため、マークの形状によってロイヤル・コペンハーゲンの製品の年代をある程度まで特定することができます。
それぞれの製品が製造された年、もしくは10年単位までしぼり切ることが可能です。
三本の線
三本の線は、デンマークの国を囲む 3つの海峡「エーレスンド海峡」「大ベルト海峡」「小ベルト海峡」を象徴しています。
国内でもっとも重要視されていた 3海峡をトレードマークにしようと提案したのは、ロイヤル・コペンハーゲン誕生のきっかけを築いた女王ジュリアン・マリーでした。
このマークが誕生して以来、ロイヤル・コペンハーゲンの製品には必ずこのロゴが印され、ブランドの信頼性や職人たちの技術力、さらにデンマークの芸術においてどれだけ価値ある品であるかを強調する意味合いも含まれています。
絵付師のサイン
ロイヤル・コペンハーゲンのひとつの作品に対し、すべて手描きのペイントをほどこす絵付師たちの技術は、決して簡単に得られるものではありません。
一人前になるためにはおよそ 4年間にわたる修練が必要とされ、その技術をもつ絵付師たちが手掛けた作品の底面に証となるサインが残されます。
ただ、ロイヤル・コペンハーゲン製品の制作に携わってきた絵付師は多数存在するため、今では誰のサインか分からなくなってしまったものも多くあります。
ロイヤル・コペンハーゲンの代表的なシリーズ
デンマークの老舗食器ブランドとして、長い歴史を歩んできたロイヤル・コペンハーゲンは、これまで数多くの人気シリーズを手がけてきました。
一部、廃盤になってしまったものもありますが、どのシリーズも世界中にファンを抱えるほど魅力的な作品たちが並びます。
ここからは、ロイヤル・コペンハーゲンの商品の中でも、主要となるシリーズをピックアップしてご紹介します。
フローラ・ダニカ
1885年につくられた『フローラ・ダニカ』はロイヤル・コペンハーゲンの代名詞的な存在で、世界一豪華なディナーセットとして知られています。
『フローラ・ダニカ』は「デンマークの花」を意味し、優雅に咲きほこる花々を連想させる華やかさが特徴です。
ひとつずつ丁寧に絵付けを行う技法は、200年前から変わりません。
植物図鑑である『フローラ・ダニカ』に収められた約 3,000種類もの植物の中から一点一点異なるモチーフが選ばれ、熟練した職人の手によって制作されています。
1803年の国王の誕生日に初めてロイヤル・コペンハーゲンの食器が使用されると、後にこちらも王室御用達の品として採用されました。
『フローラ・ダニカ』の食器は、現在でもデンマークの公式晩餐会に使用されています。
Blue Fluted(ブルーフルーテッド)
『ブルーフルーテッド』はロイヤル・コペンハーゲンの工房にとって最初のパターンとなる、伝統的なシリーズです。
その証として『ブルーフルーテッド』シリーズの商品すべてに「No.1」というデコレーションナンバーがあしらわれています。
絵柄の起源は中国と考えられており、繊細で格調高い唐草模様とレースのパターンは世界中にファンを持つ製品です。
その美しく、細かな絵柄を完成されるために、職人たちは手間と技術を惜しみなく発揮します。
1枚の『ブルーフルーテッド』の絵付けを完成させるには、なんと 1,200回近くも筆を動かす必要があるといいます。
ブルーフラワー
白を基調とした磁器にチューリップやポピー、カーネーション等を単色の青色で描いた『ブルーフラワー』は、1780年に発表されたシリーズです。
現在は廃盤となってしまった製品ですが、今でもファンの間でアンティーク品として取り引きされるほどの人気を誇ります。
筆のタッチやグラデーションの技術のみで陰影をつけられた絵柄は派手過ぎず、とても上品なデザインです。
シリーズ内で展開される『プレイン』『カーブ』『アンギュラー』は、それぞれ細部に少しずつ違いがあります。
ホワイト・ハーフレース
1888年に『ブルーフルーテッド・ハーフレース』をベースにデザインされた『ホワイトフルーテッド・ハーフレース』。
白が持つみずみずしさや透明感が引き出され、クラシックな雰囲気をまとった優しい風合いの食器です。
シンプルさが魅力でもありますが、プレートやボウルの縁を彩るレース模様によって、ほのかに感じる華やかさもアクセントとなっています。
お皿のサイズは幅広く展開されており、用途によって使い分けできるのが嬉しいですね。
Year Plate(イヤープレート)
ロイヤル・コペンハーゲンを象徴するアイテムの 1つである『イヤープレート』は、毎年制作されるお皿です。
1908年に初年度版が作られて以降、1枚も欠かすことなく現在もその年のデザインで生産され、世界中でコレクションされています。
心を動かされる 1つのシーンをテーマとして、人々の思いを表し続けてきた絵柄はどれも素敵なものばかり。
発表当時と変わらないコバルトブルーによる美しい陰影をつける技法によって、さまざまな動物や景色、建物などの情景が描かれています。
『イヤープレート』を見るたびに、その年の思い出が蘇ることでしょう。
フィッシュ ディッシュ
『ブルーフルーテッド』のデザインをもとにした『フィッシュ ディッシュ』は、デンマークの食卓になじみの深いサーモンを乗せるためのお皿として利用されています。
ほかにも、横に長い形状を活かして取り分けて食べる料理や、パーティーのアソートを盛る時にも使うことができますね。
白地のプレートと深いブルーで描かれた花柄が織り成すコントラストは、テーブルの上を華やかに彩ります。