Borås Cotton(ボラス・コットン)は、100年以上の歴史をもつスウェーデンで最も伝統的なテキスタイルブランドのひとつです。
最高品質の綿素材をはじめ、近年は防炎・防音の機能性を持つ素材を用いた製品も、世界じゅうに送り出しています。
ここでは、長らくテキスタイル製品を生み出しつづける、ボロス・コットンの魅力に迫ります。
目次
Borås Cotton(ボラス・コットン)について
ボラス・コットンは、東スウェーデン郊外の小さな町・Borås(ボーロス)で、1870年に設立されました。
古くから繊維業がさかんなこの町で、高品質なコットン素材と高いデザイン性を重視したボラス・コットン。
1970〜1980年代にかけて、国際的に知られるデザイン会社へと発展しました。
スウェーデンのテキスタイル史の中で、最も影響力のあるデザイナーたちが、多数デザインを手がけるようになります。
愛らしい動物モチーフで、北欧ファンにはおなじみのリサ・ラーソン(Lisa Larson)をはじめ、著名なデザイナーたちが、表情豊かなファブリックデザインを生み出してきました。
ボラス・コットンのコレクションには、60年代~80年代の古典的なデザインだけでなく、やさしい色合いもあれば大胆で刺激的なパターンもある、多彩なラインナップが並びます。
Borås Cotton(ボラス・コットン)の主なアイテムラインナップ
ボラス・コットンは、高品質でデザイン性の高いテキスタイルブランドとして、世界中から支持されています。
特に、1960年代以降にデザインされた柄の多くは現在でも扱われていて、人気の根強さがうかがえます。
伝統柄を大切に受け継ぎつつ、常に新しいデザインの追究を続けるボラス・コットンのテキスタイルは、カーテンや衣服のみならず、アートとしての楽しみ方もでき、幅広く活用できます。
ボラス・コットンの織りなすテキスタイルの世界観を、少しだけのぞいてみましょう。
テキスタイル・ファブリック
ここでは、数あるボラス・コットンのパターンの中から特に代表的なデザインを、製作年を問わずに、いくつかご紹介します。
あわせて、パターンを生み出したデザイナーの話にも、少しだけ触れていきます。
Twitters(ツイッターズ)
細いラインで軽やかにさえずる鳥を描いた、リサ・ラーソン(Lisa Larson)による人気パターンのひとつです。
リサが古いペンでスケッチしたモチーフを、グラフィックデザイナーである娘の Johanna(ヨハンナ)が、テキスタイル用にアレンジしています。
くるくると伸びる木々の枝間から、ひょっこり現れてさえずる小鳥たちの様子がかわいらしく、いつまでも眺めていたくなるような、リサの遊び心が伝わるデザインです。
日本との関わりが深く、陶器の動物モチーフのイメージが強いリサですが、かねてからテキスタイル分野への思いが強く、2008年にヨハンナとコラボレーションを展開する形で、テキスタイル・デザインに関わるようになりました。
スカンジナビアの伝統デザインを大切にし、彼女の母国であるスウェーデンでの活動にも力を入れていました。
Glada Blad(グラーダ・ブラー)
丸みのある大小の葉が楽しげに舞い、スウェーデン語で「幸せの葉」の意味を持つ「Glada Blad(英語名:Happy Leaves)」は、カラフルなラインナップで見る人をわくわくさせてくれます。
この柄をデザインした Sven Fristedt(スヴェン・フリステッド)は、1965年の入社以降、ボラス・コットン社のを高めるのにもっとも貢献したデザイナーのひとりです。
ほかにも、葉っぱのモチーフをさらに小さくし、細かく配置した「Lager」や、1980年代に日本へ旅行した際にインスピレーションを得たという「Loppa(”ノミ”の意)」といった、モチーフを寄せ集めたようなパターンを多く手がけました。
Glada Bladは、モチーフ自体がシンプルなため、カーテンやクッションカバーにしたり、パネルに貼って壁に飾るのもよさそうですね。
Pensé(ペンス)
アクリル絵の具で描かれた可憐なパンジーの花をあしらったデザインは、Lena Boije(レーナ・ボイエ)によるもの。
幼いころから草花が好きで、水彩画を学び、1970年代にはアーツ&クラフツ運動の中心人物である WIliam Morris(ウィリアム・モリス)の作品に触発されたといいます。
彼女のデザインは北欧の植物への愛に溢れ、北欧では代表的なオーク(柏)を描いた「Eklöv」や、クローバーを細やかにあしらった「Klöver」のようなパターンを、アクリル絵の具を使った柔らかなタッチで表現しています。
レーナの、少女のような想像力とセンスがもたらした繊細なパンジーの絵は、北欧スウェーデンの明るく短い夏の風景を連想させ、見る人を魅了します。
Rock(ロック)
スウェーデンのテキスタイル・スクールの同級生だった Pia(ピア)と Mugnus(マグヌス)によるデザイン・グループ、Björk Forth(ビョルク・フォース)の代表作品です。
抽象的な大柄は、テキスタイルのほかにインテリアや陶器の分野でも活躍するビョルク・フォースらしい、家具や調度品に合わせやすいデザイン。
ダイナミックな曲線と落ち着いた色使いが特徴的で、リビングや寝室をエレガントに仕立ててくれます。
Mika(ミカ)
ボラス・コットンをはじめ、フィンランドの大手テキスタイルメーカー LAPUAN KANKURIT(ラプアン・カンクリ)に携わり、北欧デザイン界の第一線で活躍する日本人デザイナー Aoi Yoshizawa(吉澤 葵)が手がけたのが「Mika(ミカ)」です。
繊維を重ねたような抽象的なプリントは、幾重にも重なって深みを増しているかのよう。
このパターンは、防炎カーテン用に特殊加工された素材に向けてデザインされています。
隙間から漏れる光のような白色が、暗い冬の部屋も明るく見せてくれるように工夫された、秀逸なデザインです。
北欧だけでなく、日本の和室に合わせても違和感なく使えるアイテムですね。
個性豊かなデザイナーの感性光る、Borås Cotton(ボラス・コットン)のテキスタイル
「Art on Fabric(ファブリックに芸術を)」を企業理念に掲げ、個性的なデザイナーたちと共にスウェーデンのテキスタイルメ界を牽引しつづける、ボラス・コットン。
創業から 100年以上たつ現在も、伝統デザインと現代デザインの両方に積極的な姿勢は、時のデザイナーたちの背中を後押ししたに違いありません。