Gustavsberg(グスタフスベリ)は、スウェーデンを代表する老舗のテーブルウェアブランドです。
1825年にストックホルムの東に位置するグスタフスベリの町で創業し、ラインナップの中心となる磁器製品は、大部分が職人の手によって手作りで生産されています。
また、グスタフスベリは、スウェーデンに現存する唯一の磁器を生産するブランドでもあります。
目次
Gustavsberg(グスタフスベリ)の歴史
1640年代に、貴族のグスタフ・ガブリエルソン・オクセンシェルナによって設立されたレンガ工場が、そもそもの起源だったとされるグスタフスベリ。
当初はすぐれた職人を起用せず、海外の陶器に強い影響を受けた個性のない商品ばかりを生み出していたため、その品質には問題視するべき点がいくつもあったといいます。
19世紀半ばに事業を受け継いだサムエル・ゴーデニウスとその息子であるヴィルヘルムは、それらの問題点を乗り越える近代的な製造プロセスをつくり上げ、優れた美術品を多数生み出しました。
その後、工場で助手として働いていたジョセフ・エクベルとその同僚、グンナー・ヴェンネルベリが画期的な技術を確立します。
それを取り入れた作品は 1900年のパリ万博で高く評価され、グスタフスベリの作品が世界中のアーティストに注目されるきっかけとなりました。
Gustavsberg(グスタフスベリ)の代表的なシリーズ
いつまでも色褪せない魅力を備え、ブランドの象徴として愛され続けてきたグスタフスベリのテーブルウェア。
いずれも、スウェーデンで確固たる地位を築いた知名度の高い作家たちの個性が存分に溢れたものばかりです。
ここでは、それらを展開する同ブランドの代表的な食器シリーズについてまとめました。
各シリーズの具体的な商品ラインナップのほか、今日も変わらぬ支持を獲得するアイテムの魅力にも迫っていくので、グスタフスベリの数ある商品の中でもとっておきを知りたい場合はぜひ参考にしてみてください。
Bersa(ベルサ)- 青々とした木の葉で食卓にいろどりを
丸くコロンとしたフォルムが特徴の葉っぱをモチーフにした『Bersa(ベルサ)』。
グスタフスベリに詳しくなくとも、一度は見たことがあるデザインではないでしょうか。
あざやかな緑色が食卓の上にナチュラルな印象を添え、飲み物や料理をよりおいしそうに見せてくれます。
朝食にトーストを乗せるだけでも華やかな光景が生まれそうです。
他にもアソートセットをひと皿の上に完結させられる大きめサイズのお皿、ペーパーナプキン等、食事中に使用するアイテムが幅広く取りそろえられています。
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Adam(アダム)& Eva(エヴァ)- それぞれの特徴を反転させた絵柄が魅力
等間隔で描かれた、深みのあるブルーのドット柄と白地の陶器のコントラストが美しい『Adam(アダム)』と水玉模様が白色でベースがレッドの『Eva(エヴァ)』は、神話に登場する男女のように対の関係にあるシリーズです。
どちらのマグカップも、上部から底面に向かうにつれて直径が狭まっていくデザインとなっており、それが全体のフォルムに立体感をもたらすことで存在感放つ仕上がりになっています。
カップと同じく規則性のあるドットで彩られたお皿も押さえておきたいアイテムです。
大切な人とペアで使えば、思い入れのある食器となりそうですね。
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Ribb(リブ)- 引き締め効果のある縁部分がこだわりのシリーズ
「棒」という意味の『Ribb(リブ)』には、まさにそれを表したかのようないくつものラインがデザインされています。
カップの直径の変化に合わせ、底面にむかって線の間隔が狭くなっているのが特徴です。
立体的に見えるので、置かれた空間とのなじみが良くなります。
ただ縦線を引くだけでは素朴すぎるのですが、リブの各食器は縁のラインが太く描かれることにより、ぼやけたイメージにまとまりが生まれています。
使用しているカラーも黒や茶色等、すこしレトロでどんな色にも合わせやすいシンプルな組み合わせは、年代問わずに使いやすいシリーズとなっています。
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Prunus(プルヌス)- 毎日のティータイムがよりすてきに
北欧雑貨には、くだものをモチーフにしたものが多く見られますね。
こちらの『Prunus(プルヌス)』もブルーのプラムがひとつずつ、絵本風のやさしいタッチで描かれています。
ホワイトベースの磁器をあざやかに色づけるのが、果実についた枝葉たち。
葉っぱ部分を対称的にデザインすることで、リボンのようなかわいらしさも備えられました。
同じカラーであってもグラデーションの技術を用いて陰影をつけることにより、角度によって本物かと思ってしまうほど、精度の高い絵柄となっています。
お菓子や紅茶用の食器にすれば、毎日のティータイムがもっと素敵なものになるでしょう。
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Gustavsberg(グスタフスベリ)の有名デザイナー
スウェーデンで設立された後、グスタフスベリが同じ場所・製法にこだわり続け、発表してきた不朽の名作たち。
前項で触れてきた代表的なシリーズをはじめ、同ブランドを象徴するというべきアイテムの多くは国内で名をはせるアーティストたちによって手がけられてきました。
彼らのゆたかなデザイン感性をもとに完成された作品は、今もなお愛され続けるものばかりです。
そんなすばらしい芸術品を完成させたことによって、スウェーデンの磁器製品の水準を大幅に向上させたデザイナーをピックアップしてご紹介します。
Stig Lindberg(スティグ・リンドベリ)

グスタフスベリの代表アイテム『Bersa(ベルサ)』
出典 Stig Lindberg – Gustavsberg Porslinsfabrik
Stig Lindberg(スティグ・リンドベリ)はスウェーデンのデザイナーで、陶器、ガラス、テキスタイルなどをデザインするほか、画家、イラストレーターでもあります。
グスタフスベリの代表アイテムでもある『Bersa(ベルサ)』『Adam(アダム)』『Ribb(リブ)』といった名作は、すべてスティグ・リンドベリによってデザインされました。
ミラノ・トリエンナーレで金賞を受賞したり、スウェーデン国立美術館のコレクションに加えられるなど、スウェーデンで最も重要なデザイナーの1人とも言えるスティグ・リンドベリは、グスタフスベリでの長いキャリアの中で、独特かつ優雅なシリーズを発表しました。
彼は他にもテキスタイルや絵本等、幅広いジャンルの作品制作に携わり、そのすべてに自身が大事にする北欧のイメージをもりこんでいます。
Lisa Larson(リサ・ラーソン)

スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン
Lisa Larson(リサ・ラーソン)は、スティグ・リンドベリのスカウトを受けてグスタフスベリに入社し、26年の間に数々のヒット作品を生み出しました。
それらの中でも特に知名度の高い動物シリーズをはじめ、およそ320種のアイテムが彼女によって手がけられています。
グスタフスベリで働いていた期間中、スウェーデン国内で不動の地位を築いたリサ・ラーソンはその後独立しました。
1979年からはフリーデザイナーとして経験を積み始め、1992年になると2人の弟子と共に「Keramik Studion Gustavsberg(ケラミーク・ストゥディオン・グスタフスベリ)」を設立しました。
見ているだけでいやされてしまう表情で話題のアニマルたちは、今日も世界中のファンをとりこにしています。

まとめ
Gustavsberg(グスタフスベリ)のものづくりにおける生産プロセスの向上は、スウェーデンで手がけられる磁器アイテムの品質を世界的に認められるレベルにまで引き上げました。
それほどまでにグスタフスベリにおいて、アイデアやセンスを提供してきたデザイナーたちの感性が優れたものであった様子がうかがえます。