北欧の国々では、日常の暮らしのなかでキャンドルが広く取り入れられています。
冬の期間はとても日照時間が短く、家で過ごす時間も長くなる北欧諸国。
そんな日々の中、”温かな灯り” が人々の気持ちを和らげてくれるアイテムとして大切にされています。
この記事では、スウェーデンに留学したことがある筆者の体験談を踏まえながら、現地におけるキャンドルのとらえ方や取り入れ方をご紹介します。
北欧のキャンドルを用いた素敵な暮らしをヒントに、リラックスできる日常に手に入れましょう。
目次
北欧スウェーデンで感じた暮らしの中のキャンドル
筆者はスウェーデンに行くまで、キャンドルをあまり使ったことがありませんでした。
現地では、寮での何気ない夕食にキャンドルを灯したり、クリスマス飾りとしても各ご家庭の窓辺に飾られていたり。
特別おしゃれな人だけが用いるアイテムでなく、まわりの方々が暮らしの中で自然に使っている様子を目にしてきました。
そんな普段の生活の中にキャンドルがある暮らしは、私にとってはとても新鮮に映ったものです。
現地の生活にそっと温もりを添えてくれていたキャンドル。
ここからは筆者が北欧にいた当時の体験談をご紹介いたします。
スウェーデンで見つけたキャンドルのある日常
スウェーデンへの留学は、はじめの 1か月は夏期の語学学校に通い、その間は現地の学生が実際に使っているお部屋をそのまま借りさせていだきました。
夏休みに寮を離れる間だけ貸し出されているので、インテリアは普段使われているままの姿です。
寮に入居してすぐ一番気になったのが、どこからともなく感じる甘いバニラのような香り。
見渡してみると低めの本棚に、香りがふんわりとするアロマキャンドルが 5個ほど置かれていました。
それが、私にとって北欧で最初のキャンドルとの出会いです。
それ以降では、交換留学先の共有ダイニングでキャンドルを持ち寄って机に置き、灯りの元で食事をしたり。
また、ふと立ち寄った空港のカフェのカウンター席にも、透明の筒に入れられたキャンドルが当たり前のように置かれていました。
そうした様々な場面でカジュアルにキャンドルを用いる暮らしを、当時私はとても新鮮に感じました。
日本に帰国してからは、デンマーク発祥の『ヒュッゲ』について知るうちに「あれがヒュッゲだったのか」と納得し、キャンドルの良さを改めて実感しました。

クリスマスの『アドベントキャンドル』
スウェーデンでキャンドルを使ったエピソードで特に記憶に残っているのが、クリスマスの『アドベントキャンドル』です。
スウェーデンはキリスト教の国で、クリスマスまでの 4週間をキャンドルを用いてカウントダウンする風習があります。
そのカウントダウンに用いるキャンドルのことをアドベントキャンドルといいます。
毎週末ごとに 4本のキャンドルを一つずつ灯す本数を増やしていき、最終週には 4本すべての灯りが揃います。
この時期のスウェーデンの各住居の窓辺には、吊るすタイプの大きなお星さまのオーナメントや、このアドベントキャンドルを外からも見えるようにとても素敵に飾られています。
現地のお家はカーテンがなかったり、室内のデコレーションを見せてくださる形で、住宅地を歩くだけで幸せを分けてもらったような気持ちになるほどでした。
電気を使わない時間『アースアワー』でもキャンドルが
クリスマスの他にも、一年に一度、電気を使わない 1時間を過ごす『アースアワー』のときも、部屋でキャンドルに火を灯して過ごす機会がありました。
『アースアワー』とは、もともとオーストラリアで始まった地球温暖化を考えるためのイベントでしたが、環境問題に関心が高いスウェーデンに留学したことがきっかけで私の場合は参加できたイベントです。
キャンドルを用いて環境を考える試みができたことも、スウェーデンでの嬉しい出来事でした。
クリスマスなどの伝統行事や、アースアワーのようなエコにまつわるイベントもキャンドルとつながりがあり、が暮らしに根付いていることを実感しました。
北欧においてキャンドルのある暮らしとは?
北欧諸国は、世界的に見てもキャンドルの消費量が高い国々です。
キャンドルの優しい灯りは暗闇を照らすだけでなく、心地よい癒しを人々にもたらしてくれます。
また、ヒュッゲの発祥となるデンマークでは、キャンドルは気軽にヒュッゲを体験できる道具の代表例です。
北欧の冬は暗い日が続き、室内で過ごす時間も長くなります。
そんな日々の中、キャンドルの灯りは温かみのある空間作りにぴったり。
冬だけでなく、一年を通じて素敵なお部屋の雰囲気づくりに使われています。
ヒュッゲに関する著書をもつ Meik Wiking(マイク・ヴァイキング) は、デンマーク人を対象にキャンドルを使う頻度の調査を行いました。
その結果では、全体の 28%の人がキャンドルに毎日火を灯し、反対に全くキャンドルを使用しないと答えた人は 4%にとどまったといいます。
キャンドルを灯す暮らしが日常的になっている様子がうかがえますね。
また、デンマーク語でキャンドルは、日本語に直訳すると「生きている光(levende lys)」と呼びます。
こうした言葉ひとつとっても、キャンドルの揺らぐ柔らかな炎は、蛍光灯などの刺激的な光と区別して認識されていることが分かります。
実際に北欧でキャンドルはどう使われている?
ここからは、北欧の人々が暮らしの中でどのようにキャンドルを取り入れているかをご紹介します。
日常生活の中で、あまり意識しなくても自然と取り込めるような使い方。
スウェーデンの暗い冬に行われる伝統行事にまつわる使い方。
普段使いするなら特に気を付けたい素材の選び方のこだわりなど、現地でどのようにキャンドルが捉えられているか見ていきましょう。
ほっこりと優しいキャンドルの灯りを、北欧の方々のように日常に心地よく取り込むことができれば素敵ですね。
暮らしの中におけるキャンドルのヒュッゲな取り入れかた
北欧の人々は日常生活の中で、自然にキャンドルを灯すことをルーティーン化して、ヒュッゲな時間と空間作りをされています。
朝仕事に行く支度をする間や、出かける準備をする間にキャンドルを灯す。
夕方にソファーでキャンドルの灯りのもと、読書をする。
夕食時にキャンドルをテーブルに置いて、柔らかな灯りの中で食事をとることも日常に取り込みやすいヒュッゲです。
また、北欧の夏は冬とは逆転して、日が暮れるのが遅くなります。
そんな過ごしやすい夏の夜は、レストランのテラス席やお庭など、屋外でキャンドルを灯して、ゆったりと食事や気の置けない仲間と過ごす時間を楽しみます。
ベランダに少しの場所があれば、椅子とキャンドルだけでも心豊かな時間を送ることができそうですね。
これらは見栄えが良くなるといった面もありますが、アロマが配合されたものであればその香りを楽しんだり、なによりも心の余裕を作り出すことにその意味があるように感じます。
伝統的な『ルシア祭』クリスマスのアドベントキャンドルを窓辺に
キャンドルはキリスト教にまつわる行事ごとにおいても、温かな灯りで北欧の人々を包みます。
『ルシア祭』とは、12月13日に行われる、聖人ルシアを祝う行事です。
この日スウェーデンでは、頭にリース飾りのようにキャンドルをつけ、白いドレスを着た女の子を先頭に子供たちが行進を行います。
これは、ルシア祭が旧暦でもっとも日が短い冬至であり、灯りと密接な関係を持つお祭りであることに関係しています。
キャンドルの灯りと子供たちの歌声のもと行われる行進は、心が温まり清らかになるような美しさがあります。
また、先ほども触れましたが、クリスマスまで週ごとにキャンドルをつける本数を増やす、アドベントキャンドルを飾る風習があります。
日照時間が短い冬を過ごす北欧の人々は、こうした伝統的な行事を通しても光を大切なものとしてキャンドルを灯されています。
キャンドルは天然素材やエコにこだわる
環境を考えるイベント『アースアワー』にも積極的である北欧の国々は、地球環境問題にとても関心が高いことでも知られます。
キャンドルについても、天然素材のものや合成香料を使っていないなど、地球や人間にやさしい素材を選ぶ方が多いです。
例えば、ススなどが出にくく嫌な匂いもしない、大豆由来のソイキャンドルは、エコにもつながっている製品です。
また、体に優しい製品であると同時に長持ちする性質もあります。
なるべく有害な物質を避けたり、環境を考慮したキャンドルを選ぶのが北欧の人々のひとつの基準になっています。
キャンドルの灯りがもたらしてくれる日常的な幸せ
キャンドルのあたたかい灯りを用いたヒュッゲは、合理的で簡単な誰もが行いやすいリラックス方法です。
また、身体や環境に良い製品を選んでいくことも、北欧の人々から習っていきたい事柄ですね。
何かと忙しい毎日の中でも、キャンドルを用いたヒュッゲはお部屋などで行いやすく、気持ちを整える大切な時間になると思います。
こうした癒しを感じる灯りを日頃から選ばれていることも、北欧の人々の幸福度の高さの理由のひとつに含まれているのかもしれません。
キャンドルの灯りでヒュッゲに暮らしてみよう
日本でキャンドルを用いたヒュッゲを行うことも、難しいことはありません。
おうちで過ごす時間にそっと灯してみるだけで十分です。
ちょっと特別な機会として、過ごしやすい日はベランダやお庭でキャンドルの灯りに照らされながらお食事をしてみたり。
日々のバスタイムにバスキャンドルを浮かべてみても、素敵な癒しになるのではないでしょうか。
キャンドルのあるヒュッゲな暮らしを、気軽に取り入れてみてください。

