日々の暮らしの中、心地よく過ごせる時間を「お散歩」で取り入れてみませんか?
筆者が一時留学していたスウェーデンの町は、森や湖に囲まれた自然がとても身近な場所でした。
そんな筆者の北欧生活で感じたことや、現地での人々の暮らしに触れつつ、日々気軽にできるお散歩を日常に取り入れることのメリットをお伝え致します。
この記事がヒュッゲな心地よい毎日を過ごすきっかけの一つになれば、幸いです。
目次
スウェーデン留学中のヒュッゲなお散歩の体験
筆者が滞在していた場所は、デンマークの首都コペンハーゲンまで直通電車で 2時間40分ほど、スウェーデン南部のヴェクショーという町でした。
このヴェクショーの特徴は、なんといってもいくつかの湖に町全体が囲まれていること。
なんとなく散策しても、気付いたら湖にたどり着いていたりします。
夏は日が長く湿度も低くてとても爽やかで、冬は日照時間が短く暗いスウェーデンの暮らし。
ここでは、そんな自然が身近なスウェーデンの町で過ごした筆者の散歩にまつわる体験談をご紹介します。
雪景色の中、歩くことが好きになった
ヴェクショーでは授業の後、ふと天気が良ければ気晴らしに構内の森の中を抜けて湖まで行きました。
学校の敷地も湖と隣り合っていて、簡単に湖のほとりまで辿り着けるのです。
ヴェクショーの冬は、スウェーデン南部といえども札幌と同じ時期の気温ほどまで冷え込みます。
雪が降るのは11月から3月頃まで、1日の降雪量は平均20センチほどになり、4月になっても学校構内に雪が残っていました。
でも、そんな冬の短い日中の晴れ間には、私は学校からお店などが集まる町のダウンタウンに行くとき、湖のとなり合う道を抜けて歩いていきました。
バス代を浮かせるために歩くことは始めたのですが、滑りにくい靴を履いたり、寒さに気をつけながら歩けば、意外とそんな環境でも歩くこと自体を楽しめることに気づいたのです。
スウェーデンに行く以前の私は日本の瀬戸内海側の雪が積もらない地区に住んでいて、雪道を歩くことは滅多にありませんでした。
もちろん、毎日雪の中を長距離歩く生活を強いられる生活だったらとても大変だったと思うし、印象は違ったと思います。
学生生活の中で、ささやかだけど特別な楽しみに、片道50分ほどかけてダウンタウンのパティスリーまでひとり雪道を散歩しお菓子を買いに行ったり。
そんな気軽なお散歩の時間が私にとっては現地での大切な時間でした。
スウェーデンのお散歩体験から変わった意識
視界には誰もいない自分だけの雪景色、冬の淡い陽が差す朝焼けや夕焼け、凍った白い湖。
スウェーデンでは、そんな自然に囲まれながら歩くことがとても身近なことでした。
日本に戻ってからは、町の風景を見ながら時間を気にせずお散歩するささやかな時間を以前より大事に感じています。
休日にふと体を動かしてリフレッシュしたいなと思った時に、以前よりフットワーク軽めに少し 10分程度でいいから近所を歩いてみようかな、と思って散歩できるようになりました。
スウェーデンでは暗い冬の時期が続く生活だったので、空の色や植物に霜がつく様子など、ちょっとした日々の自然の変化を観察する習慣もできました。
今では散歩での息抜きを日頃から大切にして、心も体も元気でいれる気がしています。
スウェーデンの自然環境と余暇の時間
スウェーデンは、国土のうち 6割が森で 1割が湖という自然豊かな国です。
国土の面積は日本の 1.2倍ありますが、人口は日本の 1割ほどです。
そして、日本もスウェーデンと同じ程度に国土に対する森林面積がある自然ゆたかな国です。
でも、土地の高低差や家から森への行きやすさがスウェーデンの事情とすこし違っています。
スウェーデンは、北部のスカンジナビア山脈の最も高い山でも標高 2000メートルほど。
なだらかで平坦な土地が広がり、急勾配を歩かなくても森にアクセスしやすい場所が多くあります。
そんな豊かな自然環境から、スウェーデンでは野外での環境教育にも熱心です。
自然の中でリラックスして体を動かして健康を得られること、環境について学び将来へ持続して繋げていくことの大切さ。
小さな頃から環境教育を通して、こうした生きていくうえで大切なことを現地の方々は教わります。
また、余暇時間を持つこともスウェーデンの人々にとって、とても大事なことです。
仕事は余暇の時間を楽しむためにするという考え方を持ってるので、仕事以外の時間を持ち楽しむことを大切にしています。
こうした事情が組み合わさって、自然の中で過ごす余暇の時間をスウェーデンの方々はとても大切にされているのです。
スウェーデンの人々の自然の中でのヒュッゲな過ごし方
豊かな自然をどの場所からも身近に感じることが多いスウェーデン。
現地の人々は、近くの森に入って季節のベリーやきのこを摘んだり、短い夏の自然風景を味わえるアウトドア活動を楽しみます。
北欧の冬は日が昇っている時間が短く、あたたかい部屋で過ごす時間が長くなります。
でも、なかなか日が出ない冬も散歩に出るなど、自然の中で人々は一年を通して楽しみを見つけて生活しています。
ここからは、スウェーデンにおける自然との暮らし、野外で余暇の過ごし方をお伝えします。
森で季節のベリーやきのこを摘む暮らし
スウェーデンには「自然享受権」という、『自然はすべての人々のもの』といった意味合いのユニークな権利があります。
土地の所有者に迷惑をかけない範囲で自然を楽しむことが許されていて、野生の果実を採取したり、キャンプをする権利が与えられています。
これらの権利は、みんなが自然を大切にする前提があって成り立っています。
町中に住んでいても、森までのアクセスがしやすい環境にあるスウェーデン。
郊外などお家のそばに森があることもしばしばあります。
夏にはベリーを森でたくさん摘んでジャムにしたり、秋にはきのこを採ってスープにしたり。
スーパーなどでも買うことはできますが、森を訪れてのベリーやきのこの採取は現地の方々にとって季節の楽しみとなっています。
夏も冬も、自然と親しむ余暇時間
スウェーデン北部では夏は日が沈まない「白夜」になりますし、冬は逆に日が昇らない「極夜」になります。
私が一時滞在していたスウェーデン南部も、夏は夜の 22時頃まで日が沈まず、反対に冬は 15時頃には日が沈むなど、夏と冬の日照時間にとても差がありました。
暗く寒さが厳しい冬の後、春になると人々は公園などで日光浴をたっぷりと楽しみます。
また冬の雪景色と対照的な、夏のトレッキングで見れる爽やかな緑と青い空の景色も格別です。
北部北極圏にある「王様の散歩道(クングスレーデン)」をはじめとした人気トレッキングコースがあるスウェーデンでは、自然の中のアクティビティも盛んです。
雪が積もる冬の時期も、家の中で温かく過ごすばかりではありません。
晴れ間を見つけては散歩を楽しんだり、冬の森で温かい飲み物を飲んだり。
雪国ならでは、ウィンタースポーツも盛んです。
季節それぞれ、自然とつながりを持ちながら余暇の時間を過ごされています。
リラックスしたお散歩で幸せとヒュッゲを感じる日々を
留学していた当時、私はスウェーデンの雪道を歩いているうちに自然の中で体を動かすことや、自然を観察することを楽しく感じるようになりました。
余暇の時間をとって自然の中で体を動かすことは、現地の人々にとっては暮らしの一部になっているのだと思います。
自然に触れてリラックスすること、心と体をケアする余暇の時間を過ごすことの大切さ。
いろんな刺激が身近にある日本の生活に戻った後も、意識の持ち方は変わったな、とふり返って思っています。
日本では山や森などが多いものの、アクセスに時間がかかってしまうことも多いと思います。
でも、ふとした空き時間にふらりと家のまわりを散歩してみるだけでも、きれいな空が見れたり、様々なお宅のお庭の季節のお花を垣間見れたり。
日本の住宅地の中でのちょっとしたお散歩も、大事なリラックスできる時間になりますよ。
自然の中で余暇時間を大切に過ごす北欧の人々を参考にしながら、ご自身が心地よく感じられるお散歩を、ぜひ楽しんでみてください。